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到達点を踏まえ最賃闘争の政策・方針とたたかいの一大飛躍を

到達点を踏まえ最賃闘争の政策・方針とたたかいの一大飛躍を

 

今年の最賃引き上げ額が決まった。今年の引き上げ額は興味深い内容だが、マスコミ等ではあまり触れられていない。

例年のように中央最賃審議会が、A,B,C,Dランク(都道府県ごとにランク分けされている)ごとに、時給28円、27円、26円、26円の引き上げ額の目安を示した。

従来はAランクとDランクでは4円程度の差をつけていたが、地域間の最賃額の差が大きく広がり、問題になっているので今年は2円にしたと説明されている。

この目安を受けて、各都道府県の最賃審議会で最賃の引き上げ額を決めるわけだが、例年と違って、Dランクの地方が奮闘し、中でも最賃額が日本で一番低かった鹿児島県が、Aランクの目安額28円を上回り、Dランクの目安額を3円上回る29円引き上げ790にすることになった。

その他にもDランクの県のうち、青森、岩手、秋田、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、沖縄の11県が目安額+2円で、Aランクと同額の28円となった。

山形は目安額+1円の27円、福島、島根、愛媛の3県は目安額通りの26円となり、Ⅾランクの16県はすべて時給790となった。

Cランク14道県のうち、新潟、和歌山、山口、徳島、福岡の5件が目安プラス1円の27円、他9県は目安通り。Bランク11県のうち、兵庫だけが目安プラス1円の28円で、残り10府県は目安通り。Aランクの6都府県はすべて目安通りの28円であった。

鹿児島などDランクの所見の地方労連から奮闘ぶりなど聞いてみたいものである。

また、平成30年最低賃金に関する基礎調査(厚労省)によると、(最賃)未満率=違反率は富山の0.2%~岩手の3.6%まで、平均1.9%となっている。同じく影響率は香川の6.5%~神奈川の25.6%、平均13.8%である。

神奈川では最賃以下で働かされている(未満率)労働者割合は1.5%である。全国平均でもこの数年間は2%近い数値であり、放置することは許されない。

最賃が上がれば最賃額以下になる影響率は、神奈川が特に多い。最賃はそれなりに上がったが、最賃ぎりぎりで働かされている人が多いということである。今後も最賃の上昇に伴って増えていくことが予想される。

最賃については、今年の参院選における市民連合と5野党・会派の「共通政策」10番目に「地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し」と位置付けられ、自民党でも「4 11 日…自民党最低賃金一元化推 進議員連盟第 4 回総会「最低賃金のあり方についてヒアリング②」が開催され…、黒澤幸一全労連 事務局次長が…」と新たな可能性が広がっている。ちなみに連合は全国一律最賃制を掲げていないので、自民党の議連の要請にも応じず、全労連が呼ばれたということだそうだ。

こうした到達点を踏まえ、いつまでに全国一律最賃制、時給(平均)1000円、1500円を目指すのか、そのために何をどう行うのか、最賃闘争のビジョンを発展させることが求められている。

3年もしくわ5年で、全国一律で時給1500円を目指し、格差をどう埋めていくのかを示す必要がある。これまで全労連や地方労連で取り組んできた、全国の生計費調査の結果を徹底して国民に知らせていく。同時に憲法や最賃法に基づけばどの地方でも、時給は大きく1000円を超えなければならないことは、神奈川の最賃裁判でも明らかになっており、現状は憲法・最賃法違反の状態にあることも改めて知らせていく必要がある。そのためには春闘後から最賃が決まるまでの期間だけ取り組むのではなく、最賃闘争を労働運動の最重点の柱の1本として位置づけて取り組む必要がある。同時に、前号の資料でも示したが、最賃の影響は低賃金労働者には大きくても、労働者全体の賃金は、中高年を中心に大幅に引き下がっており、この事への対応も求められている。

 

更に、最賃を総力を挙げてたたかうことと、労働組合への組織化を関連付けて取り組むことも重要である。全労連・地方労連結成30年の年に労働運動の飛躍を期待したい。

 

岡本一(かながわ総研副理事長)